カーボンブラック協会

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カーボンブラックのナノマテリアルとしての安全性

1、初めに

 カーボンブラックは、1872年米国のハイドロカーボンガスブラック(Hydro Carbon Gas Black)社が、天然ガスを原料に煤(Soot)の大量生産を開始し、Carbon Blackの名称で販売したことにはじまる。このようにカーボンブラックは、工業用煤の一種としてスタートした。1910年ゴム補強材として工業用煤が有効であることが見出されると使用量は急激に増加して、それに対応して製造方法も進化して、1942年には現在の主力となるオイルファーネス法が確立され、安全・安価な材料としてのカーボンブラックの使用が定着した。
 電子顕微鏡での観察が普及し、煤・カーボンブラックの優れた黒色性・ゴム補強性がナノ材料としての特性であることがわかったのは最近である。しかし、先人は、努力を重ね優れた黒色性・優れた補強性を持つ工業材料として、煤・カーボンブラックを進化させてきた。ここでは、煤・カーボンブラックの歴史からカーボンブラックの基本構造と、及び従来から安心して使用されてきた材料で有ることを紹介したい。

 

2、煤の分類 「煤、工業用煤とカーボンブラック」の関係

 煤は、炭化水素が高温で不完全燃焼すると生じる。私達のまわりでも多量の煤が発生しており、生活空間内でも多量の煤が観察される。

図1 煤の分類

 

  人間活動に伴う煤には、非意図的に生成・排出されるものと意図的に製造される煤(工業製品とする為、管理した条件で製造する煤)が有る(図1参照)。この内、非意図的に排出する煤は、健康に害悪も懸念される灰分・未反応油分及び付着分子等が多い、自動車排ガス・工場煤煙は、この中に含まれる(表1 SOF ソックスレー抽出物)。一方、意図的に製造される煤・カーボンブラック(以後、図1に示すファーネス法・アセチレン法等現在多量に生産されている工業的煤をカーボンブラックと表記する)は、グラファイトと同様な構造を持つ安定した炭素分が主体である(表1純炭素参照)。

国連の経済協力開発機構(以下OECD)は、『ナノマテリアルとは、意図的に作られる固体で大きさがX,Y,Zのどれかの次元が1~100nmである、またはこれらの凝集体』と定義している。煤においては、図1の意図的に製造される材料がナノマテリアルに分類される。又、OECDは、安全性を調査するスポンサーシッププログラムの代表的ナノ物質(14物質)の一つとしてカーボンブラックを指定した(カーボンブラックは、スポンサー国が無いため、その後調査対象から外された)。

 

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