カーボンブラック協会

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カーボンブラックのナノマテリアルとしての安全性

6.現代の身近な素材としてのカーボンブラック

 カーボンブラックは、タイヤ等のゴム製品に使用されているだけでなく、印刷インキ・トナー・黒い色に着色された樹脂・液晶のブラックマトリックス…・等々日常生活で身の周りにある黒色製品には“含まれる”といっても過言ではないほど身近な素材である。現在の生産量は、全世界で約1,200万T/年を超えており、含有製品は億トンの単位になるかもしれない。
 この様にカーボンブラックが長期間・大量に使用されてきた背景には、

  • カーボンブラックのゴム補強性・黒色度及び樹脂等への導電性付与性能が他の材料より大幅に優れている。
  • 管理された条件下で作られ、安全な材料である(7章で詳細に述べる)。
  • 高温の熱分解反応(炎の中)で容易く・大量に合成される。

’1の例としてインキ・塗料・トナー等で使うカラー用カーボンを考える。カーボンブラックは、1%前後でも非常に優れた黒色を出すだけではなく、退色が殆どない。更に、樹脂との親和性が高い為、トナー印刷物中のカーボンブラックは、樹脂中に分散しておりカーボンブラックが飛散することもなく、手で触っても手が汚れることはほとんどない。このように優れた製品特性を持ちかつ安価で・大量に使用されるカーボンブラックは、生活に身近な・代替え材料が見当たらない素材である。

 

7.カーボンブラックの規制と安全性の知見

7.1カーボンブラックの安全性を考える上で念頭に置かれるべき特徴
  • 製法は、オイルファーネス法、アセチレン法ともに1940年代に確立されて普及しおり、現在の生産方法も基本的に変わらない。このため、粒子サイズも数十年前からナノサイズである。
  • 各メーカーが生産するカーボンブラックの“性状(粒子サイズ等)”は、ほとんど同一である。

’1と2より、過去数十年の間に世界中で集積されたカーボンブラックの安全性に関する知見は、現在生産・使用されているカーボンブラックにも当てはまる特徴である。


7.2カーボンブラックの安全性の評価に係わる最新の国際動向及び安全知見。

7.2.1 カーボンブラックのEU CLP規制8)
 日本のカーボンブラックメーカー4社が、EUに輸出しているカーボンブラックのREACH登録を実施している。REACH登録の際に、REACH規則により求められている反復投与毒性、発がん性、生殖発生毒性等の試験結果を提出している。こうした危険有害性情報を踏まえてREACH登録各社が欧州化学品庁(ECHA)に届出たCLP分類の結果は、先行登録したEvonik Degussa GmbH(現:オリオンカーボンブラック)社が届出たCLP分類の結果と同様に「危険有害性非該当(not classified)」(CLP規則で取り上げている全ての危険有害性項目に関して注意すべき危険有害性はないとの結果)であった。尚、現時点において、本届出に対して規制当局からの反論は無く、従来通りの流通が続いている。


 

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